法テラスの弁護士費用の免除とは?生活保護受給別の必要書類も解説!

伊澤文平

監修者伊澤文平弁護士

ベンゴシNOW法律事務所

公開日:2023.12.04

|

最終更新日:2024.02.07

法テラスの弁護士費用の免除とは?生活保護受給別の必要書類も解説!

弁護士へ依頼するなら、できるだけ弁護士費用を安くしたい。

なんなら無料で弁護士に依頼したい。

そのように考えて「法テラス」による弁護士費用の免除について調べていることでしょう。

ですが残念ながら、法テラスを使っても弁護士費用は、当然には無料になりません

これは生活保護受給者でも同じです。

「免除」という法テラスの決定を得ることではじめて弁護士費用が無料になります。

しかも、免除されるためには、免除のための条件をクリアする必要があります

ですが、免除ってそもそも何?「無料」とは何が違うのか?「立て替え」との関係は?

こういった点がとてもややこしくて、わかりにくいですよね。

そこで以下では、法テラスによる弁護士費用の免除とは何か、その条件、手続きや必要書類について、生活保護受給者と非受給者に分けて解説します。

【この記事でわかること】

  • 弁護士費用の「免除」とは、事件終了後のあなたからの申請を前提として、法テラスへの弁護士費用の支払い義務をなくすこと

  • 「免除」は、①収入要件、②資産要件、③資力回復困難要件の3つの条件を満たすことではじめて認められる。

  • 生活保護受給者であれば、ほぼ無条件で免除されるが、それ以外の方については、3つの条件を満たすのかを必要書類と突き合わせて審査される。

なお、法テラスでの無料相談やそれ以外のお得な法テラスのサービスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

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1.法テラスによる弁護士費用の免除とは

法テラスとは

まずは、法テラスの弁護士費用免除について、大枠となる仕組みを解説していきます。

なお、法テラス利用でかかる費用自体については、こちらの記事で解説しています。

1)弁護士費用の免除の仕組み

法テラスによる弁護士費用の「免除」とは、あなたが法テラスに支払うべき弁護士費用の支払義務をなくすことです。

免除を受けるためには、法テラスへの申請と書類審査が必要になります。

法テラスを使っても弁護士費用が当然に無料になるわけではありません。

むしろ免除を受けるまでは、「法テラスに対して」弁護士費用を支払うことが前提となっています。

ですが、なぜ本来「弁護士に」支払うべき費用を「法テラスへ」支払うのでしょうか。

免除の仕組みを理解するために、まずは法テラスによる弁護士費用の「立て替え払い」の仕組みを先に確認しましょう。

2)弁護士費用の立替え払いと法テラスへの返済義務

法テラスによる弁護士費用の立替え払い

法テラスでは、書類審査を通過すること条件に、弁護士に依頼する場合の弁護士費用が相場の約半額になります。

その上で、本来あなたが弁護士に支払うべき弁護士費用を一時的に立て替え払いしてくれます

その結果、あなたは手元資金がなくても弁護士からのサポートを受けることができるのです。

とはいえ、法テラスがしてくれるのはあくまでも立て替え払いであって、免除ではありません。

立て替えてもらった弁護士費用を今度は「法テラスに対して」返済する義務があります

ただし、一括払いではなく、あなたのお財布事情に応じ毎月1万円または5,000円の分割払い(利息なし)が認められています。

原則として事件終了後から3年以内に全額返済する必要があります。

3)弁護士費用の「免除」の必要性

このように、返済は分割払いになるとはいえ、原則として法テラスに対する返済義務は免れません。

仮に返済に遅れたり踏み倒すと、法テラスからあなたが訴えられます

ですが、生活保護受給者等にとって5,000円〜の返済ですら苦しいでしょう。

そこで、法テラスでは、一定の条件のもとで弁護士費用の返済義務がなくなる「免除」を認めているのです。

とはいえ、すべての人に立替金の免除を認めると法テラスが破綻してしまうため、これから説明する免除の条件クリアする必要があります

2.弁護士費用の免除の条件

No28:生活保護受給別の弁護士用の免除の条件

あなたが生活保護受給者かそうでないかにより、弁護士費用が免除されるための条件が違います。

また2024年以降、ひとり親世帯の一部については、免除の条件を緩和する旨の方針が法務省から発表されているため、この点についても解説します。

1)生活保護受給者│ほぼ無条件で免除

まず、生活保護受給者は、以下の必要書類を法テラスの窓口(免除係)へ提出するだけで、弁護士費用の支払いが免除されます。

【生活保護受給者の免除申請の必要書類】

  • 償還免除申請書

  • 生活保護受給証明書(直近3カ月以内)

→「償還免除申請書」はこちら

その意味で、生活保護受給者であれば、申請手続きは必要なものの、ほぼ無条件で免除されると考えてよいでしょう。

下記の窓口へ提出した書類に不備がなければ、免除決定が出た以降の弁護士費用の支払いを免除してもらえます。

  • 【提出先】 〒164-8721 東京都中野区本町1-32-2ハーモニータワー8階 日本司法支援センター本部(免除係)

2)それ以外の方│3つの条件あり

No28:弁護士費用免除の3つの条件

生活保護受給者以外の方が弁護士費用の免除を受けるには、あなたが経済的に苦しいことを示す以下3つの条件を満たす必要があります。

具体的には、収入と資産がそれぞれ一定の基準を下回っていることを求める「収入要件」・「資産要件」と、経済的に苦しい状況が今後も回復する見込みが乏しいことを示す「資力回復困難要件」を満たすことが免除の条件です。

【弁護士費用の免除を受けるための3つの条件】

  1. 収入要件

  2. 資産要件

  3. 資力回復困難要件

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①収入要件

No28:弁護士費用免除の「収入要件」

「収入要件」とは、あなたと配偶者(内縁を含む)の手取り収入の合計額が下記表に示された金額以下であることです。

なお、離婚事件などで配偶者と別居し、扶養を受けられないときは、配偶者の収入を合算しません。

【弁護士費用免除のための「収入要件」】

​​東京(23区以外)・大阪などの

「生活保護一級地」にお住まいの方

家族人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がある場合

単身者

14万140円以下

18万1,140円以下

2人家族

19万3,270円以下

24万6,270円以下

3人家族

20万9,440円以下

27万200円以下

4人家族

23万230円以下

30万1,230円以下

5人家族以上

家族数が1名増加するたびに 23,100円を加算

​​東京23区にお住まいの方

家族人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がある場合

単身者

14万140円以下

19万3,140円以下

2人家族

19万3,270円以下

26万1,270円以下

3人家族

20万9,440円以下

29万4,440円以下

4人家族

23万230円以下

32万2,230円以下

5人家族以上

家族数が1名増加するたびに 23,100円を加算

上記以外の地域にお住まいの方

家族人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がある場合

単身者

12万7,400円以下

16万8,400円以下

2人家族

17万5,700円以下

22万8,700円以下

3人家族

19万400円以下

25万6,400円以下

4人家族

20万9,300円以下

28万300円以下

5人家族以上

家族数が1名増加するたびに 21,000円を加算

(1)収入の計算

「収入」の計算をする際、以下の「働き方」に応じた金額が収入の基礎となります。

  • 給与所得者:手取り月収額(賞与(12で割った金額)も含む)

  • 自営業者:直近の確定申告書の所得を12で割った金額

  • 年金受給者:年金は2か月に1度支給されるため、直近の支給額を2で割った額。企業年金の支給がある場合も月割りで加算

例えば、板橋区(東京23区のひとつ)の実家に住むサラリーマンの方で、額面収入が17万円、手取りが14万円だった場合、収入になるのは額面ではなく手取りの14万円です。

その上で「収入」には、以下の金額を加算(プラス)します。

【収入に加算する項目】

  • 親族からの援助

  • 児童扶養手当

  • 養育費

  • 婚姻費用分担金

  • 特別児童扶養手当

  • その他公的手当(児童手当を除く)や公的給付

他方で、「収入」から”毎月継続的に発生する”費用については差し引く(マイナスする)ことができます。

【収入から差し引く項目】

  • 税金

  • 社会保険料

  • 医療費

  • 教育費(塾・習い事を除く)

  • その他のやむを得ない出費 ※これらの支出を証明する資料も必要

ベースとなる手取り収入に、以上の項目をプラス・マイナスして計算された金額が審査の対象となる「収入」になります。

(2)住まいが「生活保護一級地」・東京23区か

次に、あなたの住まいが以下の3つのうちどこなのかによって、見るべき表が異なります。

  • 東京・大阪などの「生活保護法の一級地」

  • 東京23区

  • それ以外の地域

特に、あなたの住まいの地域が、生活コストの高い東京・大阪などの「生活保護法の一級地」かどうかが大事です。

生活コストの差を考慮し、東京・大阪などの生活保護法の一級地については、収入要件の上限金額を引き上げています。

「生活保護法の一級地」については、以下の表を見てください。

【生活保護法の一級地】

都道府県

市町村名

東京都

区の存する地域

八王子市

立川市

武蔵野市

三鷹市

府中市

昭島市

調布市

町田市

小金井市

小平市

日野市

東村山市

国分寺市

国立市

福生市

狛江市

東大和市

清瀬市

東久留米市

多摩市

稲城市

西東京市

青梅市

武蔵村山市

 

 

 

神奈川県

横浜市

川崎市

鎌倉市

藤沢市

逗子市

大和市

三浦郡 葉山町

横須賀市

平塚市

小田原市

茅ヶ崎市

相模原市

三浦市

秦野市

厚木市

座間市

 

 

 

埼玉県

川口市

さいたま市

所沢市

蕨市

戸田市

朝霞市

和光市

新座市

千葉県

千葉市

市川市

船橋市

松戸市

習志野市

浦安市

 

 

大阪府

大阪市

堺市

豊中市

池田市

吹田市

高槻市

守口市

枚方市

茨木市

八尾市

寝屋川市

松原市

大東市

箕面市

門真市

摂津市

東大阪市

岸和田市

泉大津市

貝塚市

和泉市

高石市

藤井寺市

四條畷市

交野市

泉北郡 忠岡町

 

兵庫県

神戸市

尼崎市

西宮市

芦屋市

伊丹市

宝塚市

川西市

姫路市

明石市

 

 

 

京都府

京都市

宇治市

向日市

長岡京市

滋賀県

大津市

 

 

 

愛知県

名古屋市

 

 

 

広島県

広島市

呉市

福山市

安芸郡 府中町

 

 

岡山県

岡山市

倉敷市

 

 

福岡県

北九州市

福岡市

 

 

宮城県

仙台市

 

 

 

北海道

札幌市

江別市

 

 

また、生活保護法の一級地のうち、東京23区については、家賃をはじめとした生活コストがさらに高くなるため、それに合わせて収入要件の基準額もさらに引き上がっています

このように地域別に収入要件の上限が異なるため、あなたの住む地域に対応した収入要件の表をみてください。

(3)同居の家族が何人か

みるべき表を特定できたら、あなたと「同居する家族」の数をカウントします。

家族の数が多ければ多いほど収入要件の上限額は引き上がります。

「同居の家族」とは、あなたと同居する配偶者(内縁を含む)及び以下に該当する”扶養家族(主に子ども)”を意味します。

【扶養家族】

  1. 申込者又は配偶者と同居している。

  2. 申込者又はその配偶者から生活費の主たる部分が賄われている

  3. 年間収入が103万円以下(賞与を含めた平均手取月収が74,000円以下)

例えば、あなたが妻とその子ども2人(4歳と1歳)と暮らしている場合、「同居の家族」はあなた+妻+子2人の4人となります。

収入要件の表でいうと「4人家族」の行をみます。

(4)家賃・ローンを支払っているか

あなたが家賃または持ち家のローンを支払っている場合、収入の上限が引き上がります

表でいうと「家賃or住宅ローンの負担がある場合」の列をみます。

例えば、板橋区在住の独身男性が家賃を支払っていないときは14万140円以下、支払っているときは19万3,140円以下が上限額になります。

以上を踏まえ、計算されたあなたと配偶者の「収入」が、収入要件の表が示す金額を下回っている場合には、収入要件はクリアです。

②資産要件

No28:弁護士用免除の「資産要件」

資産要件」とは、あなたと配偶者(内縁を含む)の現預金等の資産が以下3つの要件のすべてに該当することです。

【資産要件】

  1. 以下の「資産」の合計が66万円以下なこと

    1. (a)現金・預貯金

    2. (b)保険(生命保険、学資保険、個人年金等)の解約返戻金

    3. (c)有価証券の時価等

  2. 自宅以外の不動産を持っていないこと

  3. 車は1世帯に1台まで

(1)資産の合計金額が66万円以下なこと

「資産」の計算では、現預金だけでなく、保険の解約返戻金と株(有価証券)の時価を含め、合計額が66万円以下でないといけません。

ただし、仮に「資産」の合計額が66万円を超える場合でも、その資産を返済に充てることのできない合理的事情があることを証明できれば、この要件を満たします。

  • 【66万円を超えても問題ない例】:

    • ・近く大きな手術のため高額な医療費の支出が予定されている場合

    • ・近いうちに、子供の進学等で多額の出費が確実視されるような場合です。

(2)自宅以外の不動産を保有していないこと

住むための持ち家(自宅)を保有する分には、免除の妨げになりません。

ただし、高額な自宅の場合には、たとえ自宅しかないといっても「そんないい家に住んでいるなら余裕あるね」ということで、免除が認められない場合があります。

また、自宅以外の投資用不動産などがある場合には、免除は認められません

もっとも、その不動産を返済に充てることのできない合理的事情があることを証明できた場合には、例外として資産要件を満たします。

  • 【自宅以外の不動産を保有しても問題ない例】:

    • ・農家でその土地がないと生活ができない

    • ・資産価値が低く、買い手がつかないなどで換価が難しい不動産

(3)車は1世帯あたり1台のみ

車は、地域によってはないと生活できないこともあるため、たとえ車を持っていたとしても、1世帯1台だけであれば、免除の妨げになりません。

もっとも、その1台が高額な車の場合には、免除が認められないことがあります

他方、1世帯あたり2台以上の車を保有していたとしても、その車を返済に充てることのできない合理的事情があることを証明できた場合、資産要件を満たすと判断してもらえることがあります。

③資力回復困難要件

No28:弁護士費用免除の「資力回復困難要件」

弁護士費用の免除を受けるための最後の条件として、現状、経済的に苦しいだけでなく、その状態が今後回復しないことを示す「資力回復困難要件」を満たす必要があります。

というのも、法テラスはもとより3年を目処にした分割払いを許しているところ、現状、経済的に苦しくても将来その状態が改善するなら、支払いの「猶予」は認めても「免除」まで認める必要がないからです。

「資力回復困難要件」は、具体的には下記1.〜5.のいずれかに該当する状態をいいます。

一つでも該当すればこの要件は満たします。

【資力回復困難要件】

  1. 65歳以上の高齢者

  2. 以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

    1. (1)国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

    2. (2)厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

    3. (3)労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

    4. (4)1〜4級の身体障害者手帳所持者

    5. (5)1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

  3. 上記障害者を扶養する者

  4. 病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

  5. 上記1〜4に準じる理由で、今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

なお、以下の者は「4.」・「5.」に該当しないので注意が必要です。

  • 不景気による収入減、一時的な失職や現在低収入という理由のみで返済が困難場合

  • 離婚して子供を育てているが、両親と同居しているため仕事をするのに支障がなく、今後、収入の増加が見込める場合

④まとめ│弁護士費用を免除してもらうための3つの条件

あなたと配偶者の収入・資産が基準以下で経済的に苦しい状況にあるだけでなく、その状況が今後回復困難であると見込まれる場合に初めて、弁護士費用の免除が認められます。

  1. 収入要件

  2. 資産要件

  3. 資力回復困難要件

以下のとおり、弁護士費用の免除を受けるための3つの条件を表にまとめました。

あなたに該当する部分を見つけ、そこに示された金額・条件よりもあなたの経済状態が下回っていれば、弁護士費用の免除を受けることができます。

【まとめ:弁護士費用免除の3つの条件】

​​東京(23区以外)・大阪などの

「生活保護一級地」にお住まいの方

同居の家族

の人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

資産要件

資力回復困難要件

単身者

14万140円以下

18万1,140円以下

・66万円以下

・自宅のみ

・車1台のみ

下記(1)〜(5)のいずれかに該当する者

(1)65歳以上の高齢者

(2)以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

 ・国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

 ・厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

 ・労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

 ・1〜4級の身体障害者手帳所持者

 ・1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

(3)上記障害者を扶養する者

(4)病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

(5)上記1〜4に準じる理由で、

 今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

2人家族

19万3,270円以下

24万6,270円以下

3人家族

20万9,440円以下

27万200円以下

4人家族

23万230円以下

30万1,230円以下

5人家族

以上

家族数が1名増加するたびに

23,100円を加算

​​東京23区にお住まいの方

同居の家族

の人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

資産要件

資力回復困難要件

単身者

14万140円以下

19万3,140円以下

・66万円以下

・自宅のみ

・車1台のみ

下記(1)〜(5)のいずれかに該当する者

(1)65歳以上の高齢者

(2)以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

 ・国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

 ・厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

 ・労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

 ・1〜4級の身体障害者手帳所持者

 ・1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

(3)上記障害者を扶養する者

(4)病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

(5)上記1〜4に準じる理由で、

 今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

2人家族

19万3,270円以下

26万1,270円以下

3人家族

20万9,440円以下

29万4,440円以下

4人家族

23万230円以下

32万2,230円以下

5人家族以上

家族数が1名増加するたびに

23,100円を加算

上記以外の地域にお住まいの方

同居の家族

の人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

資産要件

資力回復困難要件

単身者

12万7,400円以下

16万8,400円以下

・66万円以下

・自宅のみ

・車1台のみ

下記(1)〜(5)のいずれかに該当する者

(1)65歳以上の高齢者

(2)以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

 ・国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

 ・厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

 ・労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

 ・1〜4級の身体障害者手帳所持者

 ・1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

(3)上記障害者を扶養する者

(4)病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

(5)上記1〜4に準じる理由で、

 今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

2人家族

17万5,700円以下

22万8,700円以下

3人家族

19万400円以下

25万6,400円以下

4人家族

20万9,300円以下

28万300円以下

5人家族

以上

家族数が1名増加するたびに

21,000円を加算

3)ひとり親で中学生以下の子供がいる方

最後に、法務省は2024年から、ひとり親(シングルマザー・ファーザー)でかつ中学生以下の子どもがいる困窮家庭については、弁護士費用を免除する新しい政策をスタートします。

具体的には、生活保護を受けていないものの、以下の条件を満たすひとり親世帯については、一律に「資力の回復が困難」であるとみなし、免除の条件を緩和してもらえます。

【免除条件が緩和されるひとり親世帯】

  1. ひとり親世帯で

  2. 中学生以下の子どもがおり

  3. 未払い養育費の回収を弁護士に依頼する場合

生活保護受給者のように当然免除ではありませんが「資力回復困難要件」をクリアしたものとして扱ってくれるのは、大きなメリットです。

3.免除の申請手続きと必要書類

「生活保護受給者」が免除を受けるための手続きと必要書類については「2.弁護士費用の免除の条件」のところで説明したとおりです。

これに対して「生活保護受給者以外の方」が弁護士費用の免除を受けるためには、以下の必要書類を法テラスの窓口へ提出する必要があります。

免除の申請時期については、弁護士に依頼した事件終了以降に行ってください。

【生活保護非受給者の免除の必要書類】

  • 償還免除申請書

  • 免除に関する確認票

  • 同確認票に記載された資料

償還免除申請書」は、免除のための申込書で、申請日、あなたの氏名・生年月日・住所・電話番号とご利用中の法テラスの名称を記載するだけの簡単な書類です。

なお、氏名欄についてはスタンプやハンコではなくあなた(もしくは法定代理人、代理権のある保佐人・補助人)の直筆で署名してください。

→「償還免除申請書」はこちら

免除に関する確認票」は、あなたが免除の条件を満たすことを証明するためにどういった資料が必要なのかを記載した一覧表のこと。

同確認票に記載された資料」は、主に住民票(3か月以内発行で「世帯全員分」・「本籍」・「続柄」の記載あり)などの個人を特定するための書類から、給与明細の写し(直近2ヶ月)、非課税証明書や通帳の写しなど、あなたと配偶者の収入・資産が乏しく、その経済状況が今後しばらく回復しないことを示す資料になります。

免除に関する確認表については、以下よりダウンロードしてプリントアウトしてから記入ください。

ただし、自己破産申立事件で、免除申請が免責決定から2ヶ月以内の場合、確認票はノーマル版をより簡略化した「免除に関する確認票(破産事件特例版)」を使ってください。

理由は、破産手続きの中ですでに収入などを示す資料が提出済みのため、あなたが集めるべき資料は少なくて済むからです。

これらの必要書類をすべてそろえたら、以下の法テラスの本部(免除係)へ提出してください。

  • 【提出先】 〒164-8721 東京都中野区本町1-32-2ハーモニータワー8階 日本司法支援センター本部(免除係)

必要書類をもとにあなたの経済状況を審査し、免除の条件をクリアしていると判断された場合には免除決定が出されます。

それ以降、あなたは弁護士費用を法テラスへ返済する必要は一切ありません。

4.免除の開始時期と支払猶予

免除決定をもらえるタイミングは、弁護士に依頼した事件が終了してからになります。

裏を返せば、事件が終了して免除決定がもらえるまでの間は、弁護士費用を支払い続けないといけません。

立て替えてもらった弁護士費用の支払いは、弁護士と契約し案件を依頼した時点より2ヶ月後からスタートしています。

ですが、生活保護受給者などの経済的に余裕がない方にとっては、そもそも最初から(事件が進行中のときから)1円も支払いたくないですよね。

1)事件進行中の支払い「猶予」

法テラスもこの点は理解しているため、事件が終了するまでの間は、一定の条件のもと弁護士費用の支払いを「猶予」してもらえます。

「猶予」は支払い義務をなくす免除とは異なり、支払い時期を遅らせるだけですが、今すぐ支払えない状況の方にとっては大きなメリットです。

生活保護受給者はもちろん、生活保護に匹敵する経済状況にある方も「猶予」の対象となります。

仮に事件進行中の支払い猶予が認められれば、その後事件終了時点で免除を受けることで、最初からあなたは1円も支払うことなく弁護士に事件を依頼できたのと同じになります。

2)回収金からの返済と残額の免除│ダメな場合の猶予

No28:弁護士費用の免除とダメな場合の支払い猶予

事件が終了し、相手からまとまったお金を回収できた場合、そのお金は先に返済に回されます

例えば、事件終了時点で返済すべき金額が残り30万円あり、10万円を回収できた事案であれば、その10万円は残債30万円の返済にあてられます(残り20万円になる)。

回収金から返済してもなお残債がある場合、その残りの支払い債務が「免除」の対象となります。

この例では、残り20万円(30万円ではない)のみが免除の対象となります。

免除を受けるためには、資力回復困難要件をはじめとした免除の条件を満たす必要があるところ、この条件を満たせないケースもあるでしょう。

その場合には、法テラス側の審査によって、改めて残債の支払いを「猶予」してもらえることもあります

5.支払いを遅れた・踏み倒した場合のペナルティ

立て替えてもらった弁護士費用の支払いについて、免除も猶予も受けられない場合もあるでしょう。

このような場合、支払いが遅れてしまったり、やむをえず踏み倒してしまうような事態になり得ます。

その場合のペナルティについて最後に確認しておきます。

支払いが遅れると、法テラスから段階的なペナルティを受けます

まず、法テラスから電話や文書、来訪による督促や、法テラスから委託された協力会社による入金の催促などソフトな手段で注意を受けます。

支払い期限を1日遅れるたびに、年率3%の遅延損害金も発生します。

法テラスによる注意にもかかわらず支払いをしない場合、法テラスからあなたが訴えられます

どうしても返済をできない理由があるなら、必ずお近くの法テラスへ電話してください。

よくある質問

法テラスによる弁護士費用の免除、特に生活保護受給者の方からのよくある質問にお答えします。

Q

生活保護受給中で自己破産を検討しています。法テラスでは何回まで無料相談できますか?

法テラスでは、同じ案件については合計で3回まで無料相談できます。経済的に余裕のない方を対象としているとはいえ、税金で運営されているため、無制限に無料相談ができるわけではないのです。生活保護を受けている方でも同じで、自己破産に関する相談も3回までとなります。そのため、4回以上相談したいなら有料になります。

Q

生活保護受給中に、法テラスで自己破産の手続きをした場合、弁護士費用はかかりますか?

生活保護受給中に法テラスを通じて自己破産の手続きをする場合、事件終了時にもあなたが生活保護を受けていれば、あなたからの申請を条件に弁護士費用は原則として全額免除され無料となります。ただし、事件終了までは支払いが「猶予」されているにとどまるため、免除を受けられるのはあくまでも事件終了後になる点には注意してください。

Q

生活保護受給中に法テラスで自己破産の申立てをしましたが、手続きをしている最中に、生活保護を打ち切られてしまいました。この場合、弁護士費用を支払わないといけないのでしょうか?

自己破産の手続き中に生活保護の打ち切りにあった場合、弁護士費用の免除は受けられず、弁護士費用を法テラスに対して支払う必要があります毎月5,000円または1万円のいずれかの金額を分割払いで返済していきます。生活保護受給者の場合、自己破産の手続き中は、弁護士費用の支払いが「猶予」されている状態で、手続きが終了した時点でも生活保護が継続していることを条件に、免除される仕組みだからです。もっとも、生活保護が打ち切られたとはいえ、依然として経済的に余裕がない場合には、一定の条件で手続き終了後においても支払いを「猶予」してもらえる場合があります

まとめ

法テラスを使えば、弁護士費用が無料になると考えている方が多いです。

ですが、当然に無料になるわけではありません。

あなたからの法テラスへの申請と、それに対し弁護士費用を「免除」する旨の決定が出てはじめて弁護士費用が無料になります。

免除を受けるためには、あなたと配偶者の収入・資産を合計しても経済的に苦しく、その状態がすぐには回復する見込みがないことが必要です。

免除を受けるための条件は、以下3つの要素に分けられます。

  • 収入要件

  • 資産要件

  • 資力回復困難要件

具体的には、あなたの収入・資産が以下の表で示された金額を下回っており、その下回っている状態が今後もすぐには回復しない場合には、弁護士費用の免除が認められます。

【表:弁護士費用の免除の3つの条件】

​​東京(23区以外)・大阪などの

「生活保護一級地」にお住まいの方

同居の家族

の人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

資産要件

資力回復困難要件

単身者

14万140円以下

18万1,140円以下

・66万円以下

・自宅のみ

・車1台のみ

下記(1)〜(5)のいずれかに該当する者

(1)65歳以上の高齢者

(2)以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

 ・国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

 ・厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

 ・労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

 ・1〜4級の身体障害者手帳所持者

 ・1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

(3)上記障害者を扶養する者

(4)病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

(5)上記1〜4に準じる理由で、

 今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

2人家族

19万3,270円以下

24万6,270円以下

3人家族

20万9,440円以下

27万200円以下

4人家族

23万230円以下

30万1,230円以下

5人家族

以上

家族数が1名増加するたびに

23,100円を加算

​​東京23区にお住まいの方

同居の家族

の人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

資産要件

資力回復困難要件

単身者

14万140円以下

19万3,140円以下

・66万円以下

・自宅のみ

・車1台のみ

下記(1)〜(5)のいずれかに該当する者

(1)65歳以上の高齢者

(2)以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

 ・国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

 ・厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

 ・労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

 ・1〜4級の身体障害者手帳所持者

 ・1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

(3)上記障害者を扶養する者

(4)病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

(5)上記1〜4に準じる理由で、

 今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

2人家族

19万3,270円以下

26万1,270円以下

3人家族

20万9,440円以下

29万4,440円以下

4人家族

23万230円以下

32万2,230円以下

5人家族以上

家族数が1名増加するたびに

23,100円を加算

上記以外の地域にお住まいの方

同居の家族

の人数

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローンの

負担がない場合

資産要件

資力回復困難要件

単身者

12万7,400円以下

16万8,400円以下

・66万円以下

・自宅のみ

・車1台のみ

下記(1)〜(5)のいずれかに該当する者

(1)65歳以上の高齢者

(2)以下のいずれかに該当する重度または中度の障害者:

 ・国民年金法に基づく障害基礎年金受給者

 ・厚生年金保険法に基づく障害厚生年金受給者

 ・労災法による1〜7級の障害補償給付受給者

 ・1〜4級の身体障害者手帳所持者

 ・1〜2級の精神障害者福祉手帳所持者

(3)上記障害者を扶養する者

(4)病気で長期療養が必要な無収入者で、今後1年程働けない者

(5)上記1〜4に準じる理由で、

 今後1・2年以内に生計の改善見込みが乏しい者

2人家族

17万5,700円以下

22万8,700円以下

3人家族

19万400円以下

25万6,400円以下

4人家族

20万9,300円以下

28万300円以下

5人家族

以上

家族数が1名増加するたびに

21,000円を加算

生活保護受給者であれば、生活保護受給証明書などの必要書類を提出しさえすれば、免除が認められます。

それ以外の方については、3つの免除条件を満たすかについて書類審査を受けます。

書類審査を通過すれば、弁護士費用の支払いが免除されます。

もっとも、仮に免除が認められる場合でも、そのタイミングは事件終了以降になります。

事件終了までは、支払いの「猶予」が認められるにとどまります。

免除を受けられないからといって、支払いを遅れたり踏み倒すと、法テラスから最終的には訴えられる可能性があります。

そうなる前に、お近くの法テラスまで電話をして返済計画について相談しましょう。

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