法テラスの手続き・流れとは?初めて利用する方向けに弁護士が解説

伊澤文平

監修者伊澤文平弁護士

ベンゴシNOW法律事務所

公開日:2023.12.04

|

最終更新日:2024.02.07

法テラスの手続き・流れとは?初めて利用する方向けに弁護士が解説

弁護士に無料で相談したい、弁護士費用を安くしたい。

そのような気持ちで「法テラス」の利用を検討しているのではないでしょうか。

ただ、法テラスの利用が初めてのため、具体的にどのような手続きを経て何ができるのか’、その流れがわからずお困りのことと思います。

本記事では、初めて法テラスを利用する方向けに、無料相談をはじめとする法テラスの各種サービスの「手続き」とその「流れ」についてどこよりもわかりやすく解説しています。

【この記事でわかること】

  • 法テラスの各種サービス利用するための手続きとその流れがわかる

  • 法テラスは下記3つのサービスを提供しているところ、それらを利用するための手続きの詳細もわかる

    • ①無料相談ができる

    • ②弁護士費用が約半額になり、その費用も法テラスが立て替え払いしてくれる

    • ③法テラスへの返済が分割払いになる

なお、法テラスでの無料相談やそれ以外のお得な法テラスのサービスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

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1.法テラスの手続きの流れ│全体像がわかる

法テラスとは

法テラスでは3つのサービスを提供しているところ、それぞれに固有の手続きと流れがあります。

  1. 無料相談

  2. 弁護士費用が約半額 & 立て替えてくれる

  3. 分割支払い

そのため、まずは3つのサービス内容をカンタンに把握しておきましょう。

①弁護士への無料相談

「法律相談援助」といわれるもので、担当の弁護士に30分×3回(合計90分)の範囲で無料で法律相談ができます。

法テラスを利用する際の入り口として提供されるサービスです。

②弁護士費用が約半額になり、立て替え払いしてくれる

「代理援助・書類作成援助」といわれるもので、無料相談が終了した後、実際に弁護士に依頼するときの弁護士費用を相場のおおよそ半額にしてくれます。

また、あなたが本来支払うべき弁護士費用(着手金・実費等)を法テラスが立て替えてくれます

その結果、あなたは1円も弁護士にお金を払うことなく弁護士に代理活動を依頼できます。

③法テラスへの支払いが分割になる

立て替えてもらった弁護士費用(「立替金」)の支払方法を一括払いから分割払いにしてくれます。

あなたの経済状況に応じ月額1万円または5,000円の範囲で支払い、おおむね3年以内で完済していきます。

2)法テラスを利用するための2つの手続き

No23:法テラスを利用するための2つの手続き

どのサービスを使うにせよ、法テラスのサービスを利用するための手続き・ルートが2つあります。

一つは法テラスの受付窓口にあなたが利用の申し込みをする「法テラスへ予約」をする方法。

もう一つは、あなたではなく、あなたの選んだ弁護士が代わりに法テラスへ利用申し込みをする「持ち込み方式」です。

両者の違いは、あなたが弁護士を選べるのか・誰が法テラスへ利用申請をするのかという点です。

「法テラスへの予約」では、弁護士を選べませんし、あなた自身が法テラスへ利用申込みをする必要があります。

これに対して「持ち込み方式」ではあなたの好きな弁護士を選べて、その弁護士が法テラスへの申請手続きもしてくれます。

そのため「とりあえず相談できればいい」という方以外は、持ち込み方式をおすすめします

3)法テラスの手続きの流れ

法テラス利用の手続き・流れ(全体像)

法テラスへの予約か持ち込み方式のいずれであるにせよ、法テラスを利用する際、まずは弁護士へ無料相談をするための「相談予約」から始まります

無料相談ではなく、弁護士用の立替えサービスだけ利用したいと思っても、必ず無料相談の予約からスタートします。

無料相談を飛び越えて他のサービスを利用できないことに注意が必要です。

  1. 相談予約

  2. 無料相談

  3. 立て替え申請

  4. 書類審査

  5. 援助開始決定の通知

  6. 三者間契約の締結

  7. 分割支払いの開始

  8. 援助終結決定

  9. 支払いの猶予・免除

  10. 不服・再審査の申し立て

以下では、相談予約からはじまる法テラスの利用手続きの流れを解説します。

①相談予約

弁護士への無料相談をするために、まずは相談の予約が必要です。

法テラスへの予約では、あなたが法テラスの窓口(サポートダイヤル:0570-078374)へ電話をかけ、そこで弁護士への無料相談の予約をします。

これに対して、持ち込み方式ではあなたが法テラスへ電話をすることはありません。

まずは、相談したい弁護士を探す必要があります。

弁護士を探す際の注意点は、法テラスと契約した「契約弁護士」を選ぶ必要があることです。

契約弁護士が見つかったらその所属事務所に電話をして、無料相談の予約をします。

いずれの方式でも、予約の際に電話口で「資力基準」を中心とした法テラスの利用条件について簡単に審査されます。

②無料相談

簡単な審査をクリアできた場合、決められた日時に相談場所へ訪問します。

法テラスへの予約では「お近くの法テラス」が指定されるので、当日、指定された法テラスを訪問し、そこで弁護士との無料相談が行われます。

法テラスでは対面相談が原則ですが、電話相談やご高齢の方向けの出張相談なども用意されています。

これに対して、持ち込み方式では、契約弁護士が所属する弁護士事務所内で相談が行われます。

弁護士事務所によっては、電話相談・ビデオ通話やLINE相談などのメニューも用意されています。

いずれの方法でも30分×3回(合計90分)の範囲で無料の法律相談ができます。

なお、次のステップ「立て替え申請」以降の手続きについては、法テラスへの予約と持ち込み方式とで差がありませんので、まとめて解説します。

③立て替え申請

無料相談が終了した段階で、弁護士に依頼すべきか決めます。

依頼すべき事案であれば、弁護士を通じて弁護士費用の立て替え申請を法テラスへ行います。

いずれの方式であれ、弁護士費用の立て替え申請は、あなた自身が法テラスへ行う必要はありません。

申請をするのはあくまでも担当弁護士なのでご安心ください。

④書類審査

弁護士費用の立て替え申請に対し、法テラスは書類審査を行います。

ここでは「資力基準」を中心とした利用条件をあなたが満たしているのかを改めて厳格に確認します。

あなたは担当弁護士の指示に従い、書類審査に必要な書類を集めてください。

必要書類は、あなたの「収入」を証明する書類(例:給与明細など)、住民票などの身分を証明する書類や、事案の内容を審査官が把握するための書類などです。

具体的にどんな書類が必要かについては、担当弁護士の指示に従えば問題ありません。

書類審査の期間は、申請から2週間程度が原則です。

⑤援助開始決定の通知

審査期間を経て、あなたの担当弁護士宛に審査の合否が書面で通知されます。

あなたは弁護士から審査結果を聞いてください。

審査の合格を意味する「援助開始決定」がおりた場合は、後に弁護士費用の立て替えが行われます。

⑥三者間契約の締結

援助開始決定が出た後、法テラス・担当弁護士・あなたの3者間で契約書を交わします。

契約書やその他の必要書類を作成し法テラスへ提出します。

それらが法テラスに正式に受理されてから約1ヶ月後を目処に、弁護士費用の立て替えが行われます。

⑦分割支払いの開始

弁護士費用の立て替えが行われると、弁護士があなたのために活動を開始してくれます。

同時に、立て替えてもらった弁護士費用(「立替金」)の支払い(これは「償還」といいます)がまもなく開始されます。

事件が進行中でも、立替金の支払いを始める必要があるのです。

支払い開始時期は、三者間契約書が受理されてから原則2ヶ月後からのスタートになります。

支払いは一括ではなく分割払いができて、経済状況に応じ1万円または5,000円のいずれかの額を毎月支払っていきます。

依頼した事件が終結した時点から3年以内にすべて返済する必要があります。

⑧援助終結決定

裁判の判決が出るなどして依頼した事件が終了すると、法テラスが「援助終結決定」を出します。

その中で、弁護士に成功報酬として追加で支払うべき金額(「報酬金」)が決まり、こちらも法テラスが立て替えてくれます。

この報酬金の立替え分についても、これまで分割払いしてきた金額に加えて支払っていく必要があります。

分割金額は、終結決定時から3年以内に完済できるだけの金額が設定されます。

また、事件終了に伴い相手方からお金を回収している(例:慰謝料として100万円を回収)場合もありえます。

この場合、入り口で立て替えてもらった立替金と報酬金をまずは一括で精算し、残額がある場合に限り、残りの金額があなたに振り込まれます。

⑨支払いの猶予・免除

事件が終結しない段階で立替金の支払いが始まることや、回収したお金から優先的に返済をしないといけないことに違和感を覚える方も多いはず。

特に経済的に余裕がない中での支払いは苦しいでしょう。

そこで、あなたが生活保護受給者もしくはそれに匹敵するぐらい苦しい経済状況の方については、原則として事件が終結するまでの間、立替金の支払いが猶予されます。

また、事件終結後においては、立替金・報酬金の支払いが全額免除されることもあります。

⓾不服・再審査申立

弁護士費用を立て替える場合の「援助開始決定」や、支払いを免除する旨の決定など法テラスの決定事項はいくつもあります。

これらの決定内容が必ずしもあなたの希望に添わなかった場合、各決定に対してあなたは2回だけ文句をいうことができます。

1回目の手続きを「不服申立て」、2回目の手続きを「再審査申立」といいます。

いずれもお近くの法テラスに書面を提出する形で行います。

以上が法テラスを利用する場合の手続き・流れについての全体像です。

2.法テラスの利用条件

法テラスのサービスのうちいずれを利用する場合でも、「法テラスの利用条件」をクリアする必要があります。

複数ある利用条件の中でも大事なのは「資力基準」といわれるお金にまつわる条件です。

1)資力基準とは

法テラスは経済的に余裕のない方向けのサービスです。

そのため、法テラスを利用するためには、あなたと配偶者の手取り収入・現預金の金額が一定の基準(「資力基準」といいます)を下回り、経済的に余裕のないことを証明する必要があります。

基準となる手取り月収は、同居人数と、あなたの住まいが東京23区や大阪などの比較的大きな都市(活保護一級地)なのか、また家賃・ローンを負担しているのかによって異なります。

以下の資力基準の表を見て、あなたと(いる場合には)配偶者の「手取り」収入及び現預金等の金額が基準を下回っている場合には、資力基準はクリアです。

【法テラスの資力基準】

​​東京23区

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

20万200円以下

25万3,200円以下

180万円以下

2人家族

27万6,100円以下

34万4,100円以下

250万円以下

3人家族

29万9,200円以下

38万4,200円以下

270万円以下

4人家族

32万8,900円以下

42万900円以下

300万円以下

​​東京23区以外の「生活保護の一級地」

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

20万200円以下

24万1,200円以下

180万円以下

2人家族

27万6,100円以下

32万9,100円以下

250万円以下

3人家族

29万9,200円以下

36万5,200円以下

270万円以下

4人家族

32万8,900円以下

39万9,900円以下

300万円以下

上記以外の地区

同居の家族

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がない場合

手取り収入

家賃or住宅ローン

の負担がある場合

資産要件(預金など)

単身者

18万2000円以下

23万3,000円以下

180万円以下

2人家族

25万1000円以下

30万4,000円以下

250万円以下

3人家族

27万2000円以下

33万8,000円以下

270万円以下

4人家族

29万9000円以下

37万円以下

300万円以下

あなたのお財布事情を審査した結果、上表の基準額を上回っている場合には「経済的に余裕がある」と判断され、法テラスを利用できません。

法テラスを利用するためには、あなたと配偶者の手取り収入と現預金が該当するマス記載の金額を下回る必要があるのです。

法テラスの利用条件について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

2)その他の利用条件

資力基準のほか、他の2つの利用条件があります。

資力基準とは違い、実務ではそこまで問題視されない条件のため、さらっと確認するにとどめます。

①民事法律扶助の趣旨に適すること

弁護士へ依頼する「目的」が不当かどうかをテストする利用条件です。

権利の実現ではなく、単なる相手方への嫌がらせを目的としている場合には、法テラスの趣旨に合わないので、この利用条件を満たしません。

②勝訴の見込みがないとはいえないこと

弁護士を通じて訴訟等を起こした場合に、勝訴の可能性がそれなりにあることが必要です。

勝ち筋を全く見出せない案件について、国民からの税金で運営される法テラスのサポートをするのは不適切だからです。

以上の条件をクリアしている場合には、法テラスの各種サービスを利用できます。

ここからは、無料相談・弁護士費用の立て替えなどの各手続きの詳細について解説しています。

3.弁護士への「無料相談」を利用するための手続きの流れ

弁護士に「無料相談」をするための手続きは、以下2つのルートに応じて異なります。

  • 法テラスへの予約

  • 持ち込み方式

1)「法テラスへ予約」する場合の手続き・流れ 

法テラスへ予約して無料相談する場合の手続き・流れ
  1. 法テラスへ電話予約

  2. 口頭審査と結果通知

  3. 日程・相談場所の調整

  4. 当日の弁護士への無料相談

  5. 弁護士に依頼すべきか決める

  6. 担当弁護士の決定

①法テラスへ電話予約

法テラスは完全予約制です。

法テラスを利用するために、法テラスの「受付窓口」に電話をして、専門のオペレーターとの間で無料相談の予約をします。

電話予約の受付窓口は以下の2つがあります。

  • サポートダイヤル

  • お近くの法テラス

サポートダイヤル(0570-078374)は法テラスの代表番号であり、迷ったらとりあえずこちらに電話をすれば予約ができます。

他方で「お近くの法テラス」は、あなたのお住まいの近くに所在する法テラスのことです。

お近くの法テラスには固有の電話番号がありますので、そちらに電話をして予約することになります。

違いは、お近くの法テラスに電話をした方が待ち時間が少なくなることです。

サポートダイヤルに電話をしても、あなたの住所を質問され、結局、お近くの法テラスの窓口へ内線で回されます。

法テラスへの電話予約では、電話代が20秒ごとに11円【税込】もかかるため、待ち時間もバカになりません。

電話代や待ち時間が惜しい人は、「お近くの法テラス」へ電話予約するのがおすすめ

いずれにせよ、法テラスの窓口へ電話すると「ナビダイヤル」の案内音声が流れ、あなたのお悩みの内容に対応した番号1〜5のいずれかを押すように指示されます。

相談したい内容の番号を押すと、法テラスの専門オペレーターに繋がります。

【お悩みの内容とナビダイヤルの番号】

  • 借入:1

  • 夫婦男女:2

  • 相続遺言:3

  • 職場トラブル:4

  • それ以外:5

なお、法テラスでは電話予約のほかネット予約もできますが、電話予約をおすすめしています。

理由は、ネットで予約申し込みをしても、結局、法テラスの利用条件をあなたが満たしているのかの確認のために、専門オペレーターからあなた宛に電話がかかってくることが多いからです。

②口頭審査と結果通知

専門オペレーターによる「資力基準」を中心とした無料相談の利用条件を満たしているのかの審査が行われます。

これは電話口のやりとりで行われる「口頭審査」です。

必要書類を提出して厳格に行われる書類審査とは異なり、比較的ゆるい審査です。

収入や現預金がいくらあるのかといった「資力基準」に関する質問が多くされます。

できるだけ正確に答えていきましょう。

電話口のやり取りを通じて、専門オペレーターが利用条件を満たしていると判断した場合、その場で審査結果を口頭で教えてくれます。

③日程・相談場所の調整

審査に通過した場合、電話口で引き続き相談日時・場所の調整をします。

いつ無料相談ができるのかの「日程」については、相談方法に応じて異なります

【弁護士との無料相談の日程】

  • 対面相談:約2週間後

  • 電話相談:約1週間以内

対面相談の場合、コロナ明けの影響もあり、ぎっしりと予約が埋まっています。

そのため、無料相談の日程は最短でも電話日から2週間後以降になることがほとんどです。

対面相談の場所については、あなたの住所に近い「お近くの法テラス」が指定されます。

これに対して、電話相談は比較的空いており、電話日から遅くとも1週間以内の日には無料相談ができます。

すぐにでも相談したいというスピード重視の方は、電話相談をおすすめします。

④当日の弁護士への無料相談

対面相談では、指定されたお近くの法テラスの施設へ行きます。

10分前には到着してください。

なぜなら、受付に到着すると「援助申込書」という書類の作成を指示されるところ、この記入にそれなりの時間がかかるからです。

援助申込書を窓口へ提出し、予約した時間帯がくると相談室へ入るよう案内されます。

1回30分の範囲で、担当弁護士への無料相談が開始されます。

なお、3回×30分(合計90分)の範囲で無料相談できますが、当日に2回・3回と立て続けに相談することはできず、あくまでも当日の相談は30分1回に限りますので注意しましょう。

⑤弁護士に依頼するか決める

無料相談後、ご自身でお悩みを解決するのか、弁護士に依頼して解決するのかを決めてください。

担当した弁護士との会話の中で、お悩みが弁護士に依頼すべき事案なのかについては、担当弁護士がアドバイスしてくれます。

他方で、まだ悩みが解消しない場合や弁護士に依頼すべきか判断がつかないなど「追加の相談」が必要な場合には、再度の日程調整をします。

30分×3回(合計90分)の範囲内で無料相談を重ねることができます。

このとき、1回目と2回目以降で担当する弁護士は原則として異なりますし、あなたが担当弁護士を選ぶことはできません。

⑥担当弁護士の決定

弁護士に依頼することになった場合、どの弁護士があなたの代理人として活動するのかという「担当弁護士」を決める必要があります。

このとき、あなたは担当弁護士を選ぶことはできないのが原則です。

ただし、3回(人によっては1・2回)の無料相談のうち、担当してくれた弁護士の中であなたのお気に入りがいた場合、法テラスに「◯◯弁護士へ依頼できますか」と打診できます。

これに対し、その弁護士が了承した場合には、その弁護士に法テラス希望案件として事件を依頼できます。

2)「持ち込み方式」の場合の手続き・流れ

持ち込み方式:弁護士に無料相談する場合の手続きの流れ
  1. 弁護士事務所を探して予約

  2. 口頭審査と結果通知

  3. 日程・相談場所の調整

  4. 無料相談の当日〜担当弁護士の決定

①弁護士事務所を探して予約

あなたは法テラスへ電話する代わりに、弁護士事務所を探して予約を入れる必要があります。

弁護士事務所探しの注意点は、法テラスと契約した「契約弁護士」が所属する事務所を見つける必要があることです。

契約弁護士でないと、その法律相談が無料にならないからです。

契約弁護士は法テラスが公開する「契約弁護士名簿」というリストからカンタンに探せます。

契約弁護士名簿の中に、お住まいに近くて気になる弁護士を見つけたら、その弁護士の事務所ホームページを見つつ、記載されてる電話番号に予約の電話をしてください。

②口頭審査と結果通知

予約をする際の電話口で「法テラスの利用を希望している」旨お伝えしてください。

そこで法テラスの「資力基準」を満たすのかの簡単な確認が行われます。

弁護士事務所側が資力基準を満たすと判断した場合、次の日程等の調整に進みます。

なお、事務所によっては電話口での確認だけでなく、相談当日にあなたの収入や現預金の額を証明する書類の持参が求められます。指示に従ってください。

③日程・相談場所の調整

多くの弁護士事務所では、対面での相談が普通です。

予約をした弁護士事務所へ行き、事務所内の相談室で弁護士と顔を合わせて相談できます。

日程については、遅くとも1週間以内には無料相談できます。

事務所によっては電話、ビデオ通話やLINEでの相談を受け付けていますが、この点については各事務所のホームページをご覧ください。

④無料相談の当日〜担当弁護士の決定

指定された日時に、予約先の弁護士事務所へ行きます。

担当の弁護士との間で、30分を上限とした無料相談を行います。

相談をしてみてその弁護士を気に入れば、そのまま法テラス希望案件として解決を依頼できます(もちろん、断られることもあります)。

他方、気に入らなければ、無料相談の回数(合計3回×30分)が残っている限りで、他の弁護士事務所を探して無料相談することもできます。

弁護士が決まれば、次の弁護士費用を「立て替え」てもらうための手続きへ進みます。

弁護士費用の「立て替え」以降の手続きについては、持ち込み方式と法テラスへの予約の場合でほぼ同じなので、両者を分けずに解説します。

4.弁護士費用を「立て替え」てもらうための手続きの流れ

法テラスに弁護士費用を立替えてもらうための手続きの流れ
  1. 無料相談を先にしておく必要がある

  2. 弁護士費用の立て替えを申請

  3. 書類審査

  4. 援助開始決定の通知

  5. 三者間契約の締結

  6. 立て替え払いの実行

1)無料相談を先にしておく必要がある

弁護士へ無料相談をせずに、すぐに弁護士に依頼して、法テラスに弁護士費用を立て替えてもらいたい方もいるでしょう。

ですが、法テラスを利用する場合、どの方式であれ弁護士の無料相談を先にする必要があります。

無料相談を経ずしていきなり弁護士費用の立て替えてもらう手続きには入れないので注意が必要です。

まずは無料相談をしてください。

2)弁護士費用の立て替えを申請

弁護士に依頼することが決まった場合、担当弁護士が法テラスへ弁護士費用の立て替え申請をしてくれます。

どの方式であれ、あなたが法テラスと直接やり取りする必要はありません

担当弁護士の指示に従い、次の書類審査のための必要書類を集めてください。

3)書類審査

弁護士費用の立て替えは、無料相談とは違い「書類審査(⇔口頭審査)」です。

あなたの収入や現預金がいくらなのかに関する「資力を証明する書類」を中心とした書類の提出が必要です。

必要書類の種類については、あなたがサラリーマン、個人事業主なのか生活保護受給者なのか等の「就労状況」に応じて異なります。

下記は必要書類の一例ですが、詳しくは担当弁護士に聞けば細かく指示をしてくれます。

あなたはそれに従って資料を集めていけば問題ありません。

【法テラスの書類審査における必要書類の例】

書類の種類

提出が必要な人

備考

資力を証明する書類

収入がある人

具体例

給与明細・賞与明細

源泉徴収票

課税証明書or非課税証明

確定申告書の写し

生活保護受給証明書

生活保護受給者

援助申込みから3ヵ月

以内に発行されたもの

世帯全員の住民票の写し

全員

本籍、筆頭者及び続柄の

記載のあるもの

※マイナンバーの記載がないもの

審査期間は約2週間が原則で、書類に不備があったり年末年始や祝祭日をまたぐ場合には、1ヶ月程かかる場合もあります。

なお、書類審査の必要書類や審査の流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

4)援助開始決定の通知

審査に合格した場合、法テラスから担当の弁護士宛に「援助開始決定」が書面で通知されます。

あなたは、担当弁護士から審査結果と今後の流れについて詳細な説明を受けられます。

ここで注意が必要なのは、援助開始決定が出てもすぐに弁護士費用の立て替えが行われないことです。

次の三者間契約書の作成・提出の手続きをしてはじめて立て替えが行われます。

もっとも、多くの弁護士は援助開始決定が出たこのタイミングから、あなたのための活動を開始してくれます。

5)三者間契約の締結 

あなた・担当弁護士・法テラスの三者の名前が書かれた「三者間契約書」に署名・押印をします。

この契約書は担当弁護士からもらえます。

契約書の作成を終えたら、その契約書と立て替えてもらった弁護士費用を支払うための「自動口座引き落としの依頼書」の原本を担当弁護士を通じて法テラスへ提出します。

6)立て替え払いの実行

法テラスがそれらの書類を受理した時点から約1ヶ月後を目処に、法テラスから担当弁護士に対して、弁護士費用(着手金・実費)の立て替え払いが行われます。

5.立替金等を「分割で支払う」ための手続きの流れ

法テラスに立て替えてもらった弁護士費用については、法テラスへ返済していく必要があります。

その返済方法に特典があり、本来であれば一括払いのところが法テラスに対しては月々の分割払いで済みます。

以下では、立替えてもらった弁護士費用の内容に応じた分割払いの手続きとその流れについて解説します。

  1. 立替金の分割払いの開始

  2. 報酬金の支払いの開始

  3. 立替金等の費用が支払えない場合

1)「立替金」の分割払いの開始

法テラスに立替金を分割で支払いするための手続きの流れ

先ほど、担当弁護士に対する弁護士費用の立て替え払いがされるタイミングについて説明しました。

他方、法テラスに立て替えてもらった分の「立替金」(着手金・実費)については、今度はあなたが法テラス(⇔担当弁護士)に返済していく必要があります。

具体的には、三者間契約を締結した約2ヶ月後の時点から、法テラスに立て替えてもらった弁護士費用(立替金)の分割払いがスタートします。

依頼した事件が終結していない段階からの早期の支払いになるので、注意が必要です。

法テラスに対して、月々5,000円または1万円のいずれかの金額で支払いを始めます。

支払い方法は、銀行口座からの自動引き落としの方法が原則です。

毎月、15・25・27日のいずれか任意の指定した日に上記金額+手数料(金融機関により33円・40円いずれか)が自動で引き落とされます。

依頼した事件が終結したことを意味する「援助終結決定」の時点から原則3年以内に完済していただきます。

【法テラスへの支払い条件】

返済条件

詳細

一括/分割

月々の分割払い

返済金額

月々5,000円または1万円

利息

なし

手数料

なし

返済開始時期

契約締結から2月後時点〜

返済方法

ゆうちょ銀行の口座引き落とし

引落し日

毎月15日/25日/27日のいずれか

返済期間

事件終了から3年以内

2)「報酬金」の分割払いの開始

法テラスに報酬金(弁護士費用の成功報酬)を分割払いするための手続きの流れ

裁判で勝つ・負けるなどして事件が終了した場合、法テラスが「援助終結決定」という法テラスのサポートを終了させる旨の決定を出します。

この段階で、成功報酬として追加で弁護士に支払うべき報酬(「報酬金」)の金額が計算されます。

報酬金についても、法テラスが立て替えてくれるため、あなたはこれまでの立替金に加えて、報酬金の立替え分についても分割で支払っていくことになります。

  • 立替金+報酬金=あなたが毎月支払う金額

月々分割で支払うべき報酬金の額は、援助終結決定時から3年以内に完済できる金額が設定されます。

他方で、相手方からまとまったお金を回収できた場合(例:慰謝料として100万円回収)、回収したお金の全額があなたの手元に入るわけではありません。

まずは、立替金と報酬金の返済に優先的に充てられ、残りがある場合に限りその残額があなたに振り込まれるにとどまります。

例えば、立替金の残りと報酬金の合計が60万円だった場合、回収した100万円のうち60万円は一括でただちに法テラスへの返済に充てられます。

残りの40万円があなたに振り込まれます。

このケースでは、立替金・報酬金は一括で返済され完済したことになるため、あなたはこれ以降法テラスへ返済する義務を負いません。

3)立替金等の費用を支払えない場合

立替金や報酬金の支払いが苦しくてこれ以上払えない、あるいは、踏み倒した場合どうなるのでしょうか。

段階的に注意やペナルティが課されます

第1段階は、法テラスから電話や文書、来訪による督促や、法テラスから委託された協力会社からの入金の催促があなたに届きます

支払い期限がすぎるごとに、1日単位で年率3%の遅延損害金が発生します。

早く支払わないと日に日に支払い金額が増えていくばかりです。

第2段階は、シンプルにあなたが法テラスから訴えられます

電話や文書等によるソフトな手段での催促にもかかわらず、あなたが一向に支払いをしない場合、法テラスは裁判所を通じて立替え分の回収をしてきます。

何らかの事情で返済が困難になったときは、必ずお近くの法テラスに電話をしてください。

またこのようなペナルティをもらう前に、支払いが苦しい場合には、以下の弁護士費用の支払い猶予または免除を検討してください。

①支払い「猶予」

弁護士費用(立替金・報酬金)の支払い「猶予」

生活保護受給者など、生活状況が厳しく立替金・報酬金の支払いをすることが著しく困難な場合には、あなたからの申請によりそれらの支払いを猶予してもらえる場合があります

具体的にどのくらいの期間を猶予してもらえるのかについては事案によります。

猶予を希望する場合には、これまで利用していたお近くの法テラスの受付窓口に電話してください。

支払い猶予を希望する場合の手続きの詳細を案内してくれます。

②支払い「免除」

弁護士費用(立替金・報酬金)の支払い「免除」

あなたが次のいずれかの生活状況にある場合、援助終結決定の時点以降、立替金・報酬金の残額の支払いを免除してもらえる場合があります

  • 生活保護受給者

  • 生活保護受給者に準ずる程度に生計が困難であり、将来もその資力を回復する見込みに乏しいと認められる方

注意が必要なのは、支払いを免除してもらえるタイミングが早くとも「援助終結決定時点」からという点です。

それまでは、立替金の「猶予」が認められるにとどまります。

免除を申請する場合には、免除申請書と生活保護受給証明書を提出する必要があります。

【生活保護受給者の免除申請書類】

  • 償還免除申請書

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生活保護受給者であれば、支払いを免除されることが多いですが、生活保護受給者でない方については、必ずしも免除されません。

生活保護非受給者が支払い免除をしてもらうための条件については、下記の記事を合わせてご覧ください。

6.「不服・再審査」の申立てをするための手続きの流れ

法テラスの決定に対する不服・再審査の申立てをするための手続きの流れ

これまで、弁護士費用を立て替える場合の「援助開始決定」や、報酬金の金額などを定める「援助終結決定」などさまざまな法テラスによる決定事項を紹介してきました。

ですが、例えば法テラスの利用を認めない旨の決定が出た場合、その結論を黙って受け入れるほかないのでしょうか。

法テラスでは、これらの決定に対してあなたが文句を言うための手続きを用意しています。

文句を言うチャンスは各決定に対して2回与えられており、いずれも「お近くの法テラス」の本部に書面を提出する形で行います。

1)不服申立て

お近くの法テラスのトップ(地方事務所長)がした決定に不服がある場合「不服申立て」をすることができます

不服申立てをするときは、その決定の通知があなたに到達した日から30日以内に、地方事務所長に対し「不服申立書」を提出することで行います。

電話をして文句を言うだけでは、ここでいう不服申立てにはならないので注意しましょう。

不服申立書の書面は、お近くの法テラスに備え置いてあります。

不服申立書を提出したら、あとは結果の通知を待つだけ。

不服申立てに対する審理は、原則として書面を見るだけのものなので、あなたが審理の場へ出頭するといったことは必要はありません。

2)再審査申立て

不服申立てに対する結果があなたに通知され、その結果にさらに不満がある場合、法テラスの理事長(地方事務所長よりも偉い人)に対し「再審査申立て」をすることができます

再審査申立てをするときは、不服申立てに対する決定の通知があなたに到達した日から14日以内に「再審査申立書」を地方事務所長に提出することで行います。

再審査申立書も不服申立書と同じように、お近くの法テラスに備え置いてあります。

再審査申立てに対する審理も同様に、原則として書面を見るだけのものなので、あなたが審理の場へ出頭する必要がないのも同じです。

よくある質問

法テラスの利用手続きやその流れに関してよくある質問を紹介します。

Q

法テラスの審査に通ったらどうなりますか?

法テラスによる審査(書類審査)を通ったら、あなたが本来弁護士に支払うべき弁護士費用(着手金・実費など)を法テラスが立て替え払いしてくれます。 実費には、交通費や通信費など弁護士が活動するのに必要な費用が含まれます。 立て替えてもらった費用(立替金)については、あなたの経済状況に応じ月々1万円または5,000円を毎月分割で法テラスに支払っていきます。原則、事件終結時から3年以内に完済してもらう計画です。

Q

法テラスの審査にどれくらいの日数がかかりますか?

弁護士費用の立替えを希望する場合の法テラスの書類審査の期間は、2週間程度です。ただし、書類の不備があったり祝祭日をまたいでしまうなどの場合には1ヶ月ほどかかる場合があります。審査期間中であっても依頼に着手してくれる弁護士も一部いますが、あまり多くはありません。他方で、無料相談をしたいというだけなら、電話口で簡単な審査がされるだけのため、即日審査結果をくれます。ただし、実際に対面で相談できる日程は電話の時点から2週間後以降に設定されることが多いです。いずれにせよ、スピード重視の方には法テラスはおすすめできません。

Q

法テラスにどうやって頼めばいいですか?

法テラスを利用するには、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)または「お近くの法テラス」まで電話してください。 電話口で弁護士への無料法律相談を利用できるかについての簡単な審査を行います。利用条件を満たしている方については、相談方法に応じた相談の日程・場所を調整します。無料の法律相談は、1回30分を目安に、同一のお悩みについて3回まで(合計90分)利用できます。他方で「持ち込み方式」といって、あなたが選んだ弁護士を通じて法テラスの無料相談を利用する方法もあります。持ち込み方式に対応している弁護士のリスト(「法テラス契約弁護士名簿」)についてはお近くの法テラスのページに掲載されています。

まとめ

今回は、法テラスの以下3つのサービスを利用するための手続きとその流れについて解説してきました。

  1. 無料相談ができる

  2. 弁護士費用が約半額 & 立て替え払い

  3. 返済が分割払いになる

法テラス利用の手続き・流れ(全体像)

どのサービスを使うにせよ、法テラスを利用する際には、必ずその「利用条件」をクリアする必要があります。

最も大事な利用条件は「資力基準」という、あなたの手取り収入と現預金が一定の基準を下回っていることを求める条件です。

利用条件を満たした場合には、各種法テラスのサービスを利用できますが、審査の方式は、無料相談と弁護士費用の立替えを利用する場合で異なります。

無料相談の審査は、比較的ゆるい口頭審査ですが、弁護士費用の立て替えを利用する場合には、厳格な書類審査が行われます。

書類審査をクリアして三者間契約書を締結した後、弁護士費用の立て替えが行われます。

法テラスがするのはあくまでも立て替え払いなので、あなたは法テラスに対して立替金の返済を開始する必要があります。

通常は一括払いなのですが、特別に法テラスへの支払いは月額1万円または5,000円の分割払いでよくなります。

事件終結後3年以内にすべてを返済(完済)することが想定されています。

もっとも、経済的に苦しい中での5,000円〜の返済すら困難になることもあるでしょう。

このような場合には、あなたからの申請を条件に、支払いを猶予・免除してくれる場合もあります。

また、法テラスを利用できればよいですが、利用条件を満たさないなどの理由で法テラスの利用が認められず門前払いされることもあります。

このような場合に、あなたが法テラスの決定に文句を言うためのチャンスが合計で2回用意されています。

それが「不服申立て・再審査申立」と呼ばれる手続きです。

これらの手続きを理解し実際に申し込むことで、法テラスのサービスを利用できます。

最後に、弁護士費用の立替えを筆頭に、法テラスのサービスを利用できるまでは最低でも2週間かかります。

今すぐにでも法律相談して弁護士に動いて欲しいという方には法テラスは向きません。

他方で、それ以外の方については法テラスの利用を強くおすすめします。

本記事で得た知識を使って、早速法テラスを利用してみましょう!

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